よくよく考えれば、『ねじ式』の絵の中にはっきり太海と判明しているのは、主人公の少年がキツネの面を付けた子供の運転する蒸気機関車で連れ戻される民家の路地だけなので、その他のコマは一体どこなのかわからないのだ。機関車の到着のコマ以外は、意外にもどこにでもありそうな海辺の光景だが、とりわけ十字架のような木の物干し棒に洗濯が干されているコマは印象的だ。それと、理髪店のバーバーポールを掲げた店舗の中で刃物を研いでいる人物のコマ。「天狗堂20貫」と書かれた壁。眠科(眼科ではなく)の立ち並ぶ町並み(これは台湾の町がヒントとなっているし、見開きで描かれた機関車は台湾の機関車で『鉄道ファン』1966年8月号に載った台湾・阿里山森林鉄路の写真を模写したものであることも判明している(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11209594301?__ysp=44Gt44GY5byP44CA5qmf6Zai6LuK)
僕は偶然にも、兵庫県家島本島で、『ねじ式』に描かれるようなちっぽけな集落を発見してしまった。その集落の印象から「2018ねじ式 - 家島版」を発表するが、その原版となった動画が以下のものである。開始から50秒あたりに、洗濯物が強風にはためく『ねじ式』的状況が展開されているのが分かる。集落の更に裏側にはあまりに錆色過ぎる小さな造船所があり、これもまたなぜか『ねじ式』的に思えてならなかったのだ。