そもそも、無宗教の国民が、葬式の時にだけ坊主を必要とする矛盾がその根源にある。坊主が零落したのではなく、国民が宗教に葬式仏教をしかもとめておらず、需要と供給の資本主義原則に従って、それなりの”供給”が行われているのが現代の葬式仏教の姿である。で、坊主は自分らはどうせ詐欺師や胡散臭い人種のように見られていることを意識するあまり、妙に自意識過剰に落ちいり、あるものは開き直るし、あるものは自虐的になる。無宗教なら、無宗教らしく自らの死に際して宗教儀礼を行わねばいいだけの話。それもできずに葬式坊主を悪人にするのは、どこか視点がずれていると思うがね。
葬式仏教FB
NPO法人 葬送の自由をすすめる会
葬儀を終えた後、僧侶に「お布施」をいくら包んだらいいのか。鹿児島市の最福寺の池口恵観(えかん)法主監修による『よくわかる仏事の本 真言宗』によれば、「決まりはありません」。だからこそ、困る。そこで3年前、流通大手のイオンが、ホームページで「価格の目安」を提示して話題となった。
▼もっとも仏教界の猛反発を受けて、結局削除に至る。この問題を取り上げた小紙の記事に対して、寄せられた意見の85%が提示に賛成だった。「葬式仏教」と揶揄(やゆ)される、伝統仏教に対する不信感の表れといっていい。
▼もちろん、「お墓、葬式、戒名」という3点セットからの脱却をめざす、お寺の挑戦も始まっている。本堂で落語やロックのライブを企画したり、ネットで説法を配信したり、ユニークな布教活動は数知れない。バーを開いて、客の人生相談に応じる僧侶まで現れた。
▼ただ、いくらお寺の活動の幅が広がったとはいえ、今回の朝鮮総連の中央本部の土地・建物の入札結果には、合点がいかない。45億円もの高額で落札したのは、最福寺だった。
▼池口氏は、安倍晋三首相や元プロ野球選手の金本知憲氏ら政界、スポーツ界、芸能界に広い人脈をもち、「炎の行者」「永田町の怪僧」などと呼ばれる。これまでたびたび北朝鮮を訪れており、総連首脳とも親しい。
▼建物の利用法について池口氏は、「世界の民族の融和と慰霊の拠点にしたい」と述べ、総連に貸与する意向も示した。ミサイル攻撃の恫喝(どうかつ)を繰り返す国に手を貸し、日本人の拉致の拠点となった建物を祈りの場とする。それが果たして、仏法にかなっているのか。お金の出所を含めて、「よくわかる」ように説明してもらいたい。
火葬場を颯爽と行く僧侶 鵯越斎場にて
鵯越斎場にて
【おぉたむすねィく 特殊部門】 火葬場研究班 担当: 大西輝明、写真:大原佳苗、勅使河原賢明、唐山健志郎 、松岡明芳